2012年11月26日
第3回家族会 アルコール依存症の治療
11月21日におこなわれた第3回家族会の資料です。今回のテーマは“アルコール依存症の治療” でした。
次回は11月28日 午後2時~3時です。
アルコール問題にお悩みの方。お気楽にどうぞ。
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(3)アルコール依存症の治療
アルコール依存症の治療目標は、お酒抜きの安定した生活を送ることです。さらに、生活する上でのさまざまな問題に対して、お酒を飲まずに健康的な方法で対処できるようになることです。これらの目標を成し遂げるのは決して簡単なことではありません。断酒治療を始めたあとも、多くの人は何度も失敗(再飲酒)しながら、少しずつ学んでいくものです。
患者が再飲酒するたびに、家族は「やっぱり断酒できないのか」と落胆したり、「酒をやめる気がないのではないか」と本人を疑ったり、患者の飲酒を管理できない自分を責めたりします。
酒を飲むかどうかの判断は本人にしかできません。周囲の人ができるのは見守ることだけです。 飲酒にかかわる問題は患者自身に任せて、家族は患者の一挙一動に振り回されず、落ち着いて生活することを心がけましょう。
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<< 治療について >>
アルコール依存症とは、飲酒を自分でコントロールできなくなるという病気ですから、その治療は『断酒』です。奄美病院では原則として3か月間の入院治療をお勧めしています。もちろん、より短期(長期)の入院もできますし、外来での治療も可能です。
長期にわたって大量に飲酒していた人が、急にお酒をやめると、手が震える、眠れなくなる、イライラする、胸が苦しくなるという症状があらわれます。ひどいときには幻覚が現れたり、全身のけいれんをおこすこともあります。これらは離脱症状とよばれています。
入院すると、まず、これらの離脱症状の治療をおこないます。離脱症状を抑える薬を服用するほか、必要に応じて点滴したり向精神病薬を使います。適切な治療をおこなうと、1週間ほどで離脱症状は治ります。アルコール性の肝炎や膵炎といった身体の病気がある場合には、これらの治療もおこないます。
離脱症状がおさまったら、断酒を維持するための治療をおこないます。治療の内容は下記のような組み合わせたプログラムとなっています。
・心理教育 :講義・輪読会・院内断酒会を通して、アルコール依存症という病気を理解し、断酒に必要な知識を学ぶ
・認知行動療法:テキストを用いて、自分の考え方や物事のとらえかたを振り返りながら、飲酒問題について考える。酒を勧められたときに断る方法など、断酒を続けるための技術を身につける。
・自助グループ
(断酒会、AA):同じ病気で苦しんできた仲間と病気の苦労をわかちあい、協力しながら、回復をめざす。
アルコール依存症の入院治療とは、病院に閉じ込めて酒を飲まないようにするのではありません。飲もうと思えばいつでも飲める環境の中で、断酒を続ける体験をすることが重視されています。治療は開放病棟でおこなうことが原則とされています。
奄美病院では病院の構造上の問題から、現在は閉鎖病棟での治療となっていますが、入院して一定期間が過ぎると、一人で外出することもできます。ずっと病院に閉じ込められるわけではありません。
薬について
抗酒薬を服用してもらいます。これは、体の中でアルコールを分解する酵素を抑える薬です。ノックビンとシアナマイドの2種類があります。ノックビンは粉末で、シアナマイドは液体です。抗酒薬を服用したあとで酒を飲むと、動悸、吐き気、めまいが生じ(ひどい二日酔いの状態を想像してください)、血圧が下がってショック状態となることもあります。患者に酒をやめさせたいと考えて、家族が本人には内緒で食べ物に混ぜて服薬させることがあるようですが、これは絶対に止めてください。非常に危険です。
また、飲酒欲求を弱める作用のある薬(アカンプロセートという名前です)が、近日、日本でも発売される予定です。ただし、この薬を服用すれば飲酒欲求が全くなくなるわけではありません。
2012/11/21 佐藤伸
次回は11月28日 午後2時~3時です。
アルコール問題にお悩みの方。お気楽にどうぞ。
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(3)アルコール依存症の治療
アルコール依存症の治療目標は、お酒抜きの安定した生活を送ることです。さらに、生活する上でのさまざまな問題に対して、お酒を飲まずに健康的な方法で対処できるようになることです。これらの目標を成し遂げるのは決して簡単なことではありません。断酒治療を始めたあとも、多くの人は何度も失敗(再飲酒)しながら、少しずつ学んでいくものです。
患者が再飲酒するたびに、家族は「やっぱり断酒できないのか」と落胆したり、「酒をやめる気がないのではないか」と本人を疑ったり、患者の飲酒を管理できない自分を責めたりします。
酒を飲むかどうかの判断は本人にしかできません。周囲の人ができるのは見守ることだけです。 飲酒にかかわる問題は患者自身に任せて、家族は患者の一挙一動に振り回されず、落ち着いて生活することを心がけましょう。
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<< 治療について >>
アルコール依存症とは、飲酒を自分でコントロールできなくなるという病気ですから、その治療は『断酒』です。奄美病院では原則として3か月間の入院治療をお勧めしています。もちろん、より短期(長期)の入院もできますし、外来での治療も可能です。
長期にわたって大量に飲酒していた人が、急にお酒をやめると、手が震える、眠れなくなる、イライラする、胸が苦しくなるという症状があらわれます。ひどいときには幻覚が現れたり、全身のけいれんをおこすこともあります。これらは離脱症状とよばれています。
入院すると、まず、これらの離脱症状の治療をおこないます。離脱症状を抑える薬を服用するほか、必要に応じて点滴したり向精神病薬を使います。適切な治療をおこなうと、1週間ほどで離脱症状は治ります。アルコール性の肝炎や膵炎といった身体の病気がある場合には、これらの治療もおこないます。
離脱症状がおさまったら、断酒を維持するための治療をおこないます。治療の内容は下記のような組み合わせたプログラムとなっています。
・心理教育 :講義・輪読会・院内断酒会を通して、アルコール依存症という病気を理解し、断酒に必要な知識を学ぶ
・認知行動療法:テキストを用いて、自分の考え方や物事のとらえかたを振り返りながら、飲酒問題について考える。酒を勧められたときに断る方法など、断酒を続けるための技術を身につける。
・自助グループ
(断酒会、AA):同じ病気で苦しんできた仲間と病気の苦労をわかちあい、協力しながら、回復をめざす。
アルコール依存症の入院治療とは、病院に閉じ込めて酒を飲まないようにするのではありません。飲もうと思えばいつでも飲める環境の中で、断酒を続ける体験をすることが重視されています。治療は開放病棟でおこなうことが原則とされています。
奄美病院では病院の構造上の問題から、現在は閉鎖病棟での治療となっていますが、入院して一定期間が過ぎると、一人で外出することもできます。ずっと病院に閉じ込められるわけではありません。
薬について
抗酒薬を服用してもらいます。これは、体の中でアルコールを分解する酵素を抑える薬です。ノックビンとシアナマイドの2種類があります。ノックビンは粉末で、シアナマイドは液体です。抗酒薬を服用したあとで酒を飲むと、動悸、吐き気、めまいが生じ(ひどい二日酔いの状態を想像してください)、血圧が下がってショック状態となることもあります。患者に酒をやめさせたいと考えて、家族が本人には内緒で食べ物に混ぜて服薬させることがあるようですが、これは絶対に止めてください。非常に危険です。
また、飲酒欲求を弱める作用のある薬(アカンプロセートという名前です)が、近日、日本でも発売される予定です。ただし、この薬を服用すれば飲酒欲求が全くなくなるわけではありません。
2012/11/21 佐藤伸
第5回家族会 お酒の飲みすぎが体に与える影響
第4回家族会 回復について + 12月の予定
第2回家族会(11/14) 家族はどのように対応するとよいか
水曜日の家族会のお知らせ + 第1回(11/7)の資料
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Posted by 奄美病院 アルコール依存症治療チーム at 16:54│Comments(0)
│アルコール依存症 家族会の資料